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2013年10月18日

どうぶつの腫瘍疾患について調査

■犬は、8歳で10頭に1頭以上が腫瘍疾患で通院
■4~12歳の犬の死因で最も多い腫瘍疾患
■最強の対策は、早期発見

 アニコム損害保険株式会社(代表取締役 小森伸昭)では、どうぶつの腫瘍疾患に関する調査を行うとともに、日本小動物がんセンター(埼玉県所沢市)の小林哲也先生に、犬猫のがんについてお話をお伺いしました。

4歳~12歳の犬の死因で最も多い腫瘍疾患

 アニコム損保の保険金請求データによると、腫瘍疾患は3歳以降に増え始め、8歳では10頭に1頭以上が腫瘍疾患で動物病院に通院しています。また、4歳から12歳の犬で最も多い死亡原因は腫瘍疾患です。年間の保険金受給額を見ても、年齢にともなって診療費が上昇することがわかります。

犬の腫瘍疾患の年齢別発症率

  • 2011年4月1日~2012年3月31日までの間に、アニコム損保の保険契約で満期を迎えた犬297,653頭(0~12歳)を対象に、
    腫瘍疾患で請求があった犬の発症率を年齢別に調査。

犬の年齢別死亡原因

  • 2011年4月1日~2012年3月31日までの間に、アニコム損保の保険契約で満期を迎えた犬299,305頭(0~14歳)の中で
    死亡解約直前一か月間に保険請求のあった疾患を調査し、その疾患割合を年齢ごとに示した。
腫瘍疾患による年間保険金受給額
0歳 1歳 5歳 10歳
犬 男の子 8,340 11,623 20,733 29,614
犬 女の子 7,964 9,409 20,780 35,127
  • 腫瘍疾患での請求に対して支払った保険金受給額の平均(50%プラン、犬1頭あたりの年間総額)。

~以下、小林先生にお伺いしました~

がん治療とは

 腫瘍疾患には、その場で大きくなる「良性腫瘍」と全身に転移する可能性のある「悪性腫瘍」がありますが、このうち「悪性腫瘍」をがんと呼びます。
 がん治療には、手術によってがん組織を取り除く「外科治療」、薬剤でがんの増殖を抑える「化学療法」、放射線照射によってがん細胞を死滅させる「放射線治療」などがあります。これらの治療法は、がんの種類、発生した場所、進行具合などによって、単独あるいは組み合わせて用いられます。

方法 長所 短所
外科治療 手術によってがん組織を取り除く治療法。 最も速やかに治療効果が得られる治療法。固形がん(固まりをつくるタイプのがん)の治療の要。 全身麻酔や合併症などのリスクを伴う。腫瘍の種類によっては、足の切断など、体の機能の一部を失うことがある。
化学療法 抗がん剤とも呼ばれ、薬剤によってがんの増殖を抑え込む治療法。外科治療と組み合わせたり、リンパ腫や白血病など血液のがんで使用される。 全身に広がっているがんでも効果が得られることがある。 化学療法のみで根治可能ながんはほとんどない。骨髄抑制や吐き気などの副作用が引き起こされることがある。
放射線治療 放射線照射によって、がん細胞を死滅させる治療法。 手術が困難、あるいは外科治療単独では取りきれないほど大きながんの治療で有効なことがある。痛みを抑え込む緩和治療としても有効。 国内では照射可能な施設数が限られている。費用が高額となる傾向があること。短時間であるが、照射毎に全身麻酔が必要なこと。

愛犬・愛猫が、がんと診断されたら

 がん治療の目的は、がんと正面から向かい合って完治を目指す「根治治療」と、痛みや苦痛を取り除く「緩和治療」に大別されます。愛犬・愛猫ががんと診断されたら、「がんとどこまで闘うのか」を獣医師と相談して、治療方針を決定する必要があります。獣医師は治療のコーディネーターとして、治療の種類、順序、強度、タイミングなどを説明してくれると思います。治療開始前に獣医師とよく相談し、ご家族全員が納得した治療を選択することが重要です。最近はご家族とどうぶつが一緒に過ごす時間を増やすために、入院ではなく、通院で可能な治療法が選択されることもあります。

 「苦しみ、痛みを取り除いてあげたい」「完治せずとも最後まで痛い思いをさせたくない」など、ご家族の想いは様々です。そして、できるだけ苦しむことなく最善の治療を求める気持ちは、ご家族も獣医師も何らかわりません。一方、がんの種類や進行具合、ご家族の時間的あるいは経済的制約など、それぞれのご家庭で「最善」は異なります。積極的な治療をしないことや完治を目指さないことは、あきらめではありません。愛犬、愛猫の「生活の質」を保つことを主体とした「緩和治療」も、「根治治療」と同様に重要です。ご家庭でできることを最期までしてあげるために、そして、残された時間をできるだけご家族と一緒に過せるよう、どうぶつ、獣医師、ご家族の三人四脚で最期までしっかり歩んでいきましょう。

がんを早期発見するために

 愛犬、愛猫にいつもと違う様子が見られたら、放置せず、動物病院に行くことを心がけましょう。がんは予防することが難しいので、早期発見が最良かつ唯一の対策です。そのためには、毎日のスキンシップを欠かさず、体にしこりやおできがないか確認する、猫は定期的に体重を量り、体重減少に注意することが重要です。特に元気な時と比較して、体重が20%以上減少した場合は必ず獣医師にご相談下さい。がんに限らず、大きな病気が潜んでいる可能性があります。なお、猫や小型犬の体重測定には、成人用体重計ではなく、新生児用体重計(10-50g単位での計量が可能)があると便利です。

小林哲也先生
お話をお伺いした小林哲也先生

本件に関するお問い合わせ先

アニコム損害保険株式会社 経営企画部(広報担当)  塩澤
TEL:03-5348-3777  FAX:03-6863-8257